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孤独が生み出した美しい世界:「ヘンリー・ダーガー 非現実を生きる」(編:小出由紀子)平凡社

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(私は「プレンゲン」が好き)

久しぶりにヘンリー・ダーガーの世界にどっぷりとはまり込めて幸せ。

「ヘンリー・ダーガー 非現実を生きる」(編:小出由紀子)平凡社 コロナ・ブックス

本の内容(アマゾンから抜粋)↓
子供を奴隷にする悪の大人と戦う、
少女戦士ヴィヴィアン・ガールズの絵物語『非現実の王国で』。

作者ヘンリー・ダーガーは、家族も友人もなく、
60年にわたり誰にも知られず、独りで描き続けた。
自伝・物語の抜粋から、驚異の絵物語と、
それを生み出した孤独な人生が交錯するさまに迫る。
カラー図版53点を収録。


「ヘンリーダーガー 非現実の王国で」という画集は持っていた。
毒々しい花々や残虐な戦争シーンなのにキュートな女の子たち、
遠近感のわからない不思議な景色。
そういうものに惹かれて何度も開いた画集。

2011年にはラフォーレ原宿での展覧会へ行った。
ヘンリー・ダーガー展:壮大で不思議で鮮やかな世界に魅入る

そして、本ではわからなかった
原画の大きさや緻密さ、色鮮やかさに圧倒された。

今回、新しく刊行された「ヘンリー・ダーガー 非現実を生きる」
そこには、まだ見てなかった作品もたくさんあった。

彼の制作した「非現実の王国で」(本当は長いタイトルだけど省略)は
15000ページもあり、300点を超える挿絵が描かれているのだ。
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そうしてあらためて彼の経歴や残された自伝的な文章などと合わせて
この本を読んだ。

彼の作品は、絵も文章もかなりの部分が拾い集めたりした新聞や雑誌からの
寄せ集めらしい。
絵が描けない彼は、丁寧に絵をトレースしたり拡大したり。
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でも文章についてはわからないけれど、
絵に関しては、消費されるはずだった広告や新聞記事を
全く別の美しい作品に仕上げている。

彼の人生が幸せだったかどうかわからないけれど
少なくとも一枚づつ作品に取り組み仕上げた時には、
すごい達成感を感じたはず。

だってこんなに響いてくる作品なんだもの。

表現したいものが頭の中にはパンパンに詰まっていて
それを表現するためにどうしたらいいのか
いろいろ模索した上でたどり着いた表現方法。

彼の中に作られた
とてもプライベートだけれど美しくて残酷な作品。
それを今、目にすることが出来て嬉しい。

特に好きなのは「プレンゲン」が出てくるシーン。
人間の頭に羊の角が生え、巨大な美しい羽と長くて変わった形の尻尾を持っている生き物。
本の中の解説によると
子供が泣いているを見ると泣き
傷つけられているのを見ると地獄のことく怒り
子供たちが幸せだと、もっと幸せにしてやりたいと力を尽くす
らしい。

そして瀕死のヴィヴィアンガールを蘇らせる力を持っているとか。

彼の背景なんて知らなくても開いて眺めているだけで
非現実の世界に連れて行ってくれる本、オススメです。
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