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悲しくやさしい老人ホームのお話「皺」

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元銀行員で認知症の気配が出てきた老人が
息子夫婦によって老人ホームへ入居させられる。

そこでの老人たちの日常を描いた漫画。

あまり海外のコミックの存在なんて気にした事なかったのだけど、
豊崎由美さんがTwitterで絶賛されていたので購入。

誰もが必ず老いていく。
でも、なるべくならその日は遠くあって欲しいし、自分だけはずっと頭はしっかりしてて、
家族にも愛されたまま幸せに包まれて、亡くなっていきたい・・・。
だからあまりその事を考えたくないというのが本音。

このお話は、リアルな老人の孤独や老いや退屈さや家族との距離などを描いている。
悲しいぐらいにリアルに感じられて、
日本でもスペインでもどの国でも同じなんだなあと感じる。

体が動かなくなり、頭がはっきりしなくなり、毎日に希望はなく、冒険も新しい事もない。
そんな日を過ごすなんて...と思いつつも、
老人ホームという小さな世界の中の彼らの心の動きや仕草などに引きつけられていく。
老人それぞれの描き方もすばらしくて、彼らが存在しているような気がしてくる。

そうして不思議とどんどん温かいものに包まれていくような気持ちになっていくの。

読み終えた時、前向きに生きよう!という元気はつらつな気持ちにはなれない。
だけど自分の中のなくしてはいけない気持ちをずっと持ち続けていきたいなあと思った。

人はひとりでは生きていけないし、
一人で生きているように見える人もいろんな人に助けてもらっていて、
いろんな人たちのおかげで今の世界が成り立っていて。

そういう事を、いつもは忘れちゃってるけれど、時々思い出さなきゃなと思う。


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