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横山秀夫「クライマーズ・ハイ」の表紙イラスト

さっきの記事に自然が大好きって書いたら、急に思い出したのがこの絵。
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横山秀夫さんの「クライマーズハイ」の表紙に使われたもの。

日本航空123便墜落事故を題材にした小説。
主人公の新聞記者がクライマーで、ちょうど登山にいこうと思っていた時に
この事故が起こったのだった。

編集者さんとブックデザイナーさんから最初の打ち合わせで言われたのは、
「岩山を描いて欲しい」って事。

うちの夫も元新聞記者で学生時代からロッククライミングをやっていた。
だからロッククライミングについていろいろ教えてもらった。
なぜ大変な思いをして岩を登るのかっていうのも少し理解できた。
「クライマーズ・ハイ」が
気分が高揚して恐怖を感じなくなってしまう状態だって事も知った。
そして新聞社の事なども聞いて、この小説のリアリティもわかった。

でも理解はしたけれど、それに引きずられないようにしようと思った。

崖の形はすぐに決まった。
だけど色がなかなか決まらなかった。

硬派な本だから渋い色味のほうがいい?
迷彩柄風で自然を強く感じさせる?
女性も手に取りやすくポップな色合い?

私は悩んだときには、それを文字にしてノートに書き出していく。
「たくさんの岩」「危険」「ゴツゴツしている」「見上げると青空」「緑が濃い」・・・
いろいろ書いてるうちに気づいたのは、
人間の気持ちに関係なく自然はそこにあるだけだって事。

楽しい気分の時にでも「どんよりとした空」だったり
悲しい気分の時にでも「スカッと晴れ渡った空」なんだ。

でも辛い日に青空を見たとしても、それで青空が嫌いになるわけではないんだよね。

そう思った時に、あの色で描けたのだった。
そしてその後の、風景を描くときの私のスタンスも決まったのだった。

見た人が自由に感じられる絵を描きたい

だから発売後、あの表紙がとっても評判がよくて本当に嬉しかった。

自然は人間の力では全く太刀打ちできないぐらいの激しさや厳しさで襲いかかってくるけれど
恵みをくれるのもその自然。
破壊されてもまた新しい草が芽吹き、空は青く晴れ渡る。


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